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お役立ち情報
2020.10.19
会社から感染したら教えろと言われたけど言わなくてOK?
新型コロナウイルスの感染者が日々増えていく中で、会社から「もし、新型コロナウイルスに感染してしまったら、すぐに会社に報告しなさい」と言われている人も多いのではないかと思います。
当事務所にもお客様から
「従業員に病気の情報等を聞くことは問題ないか」
「会社から教えろ!と言われたが個人情報保護の観点で問題ないか」
「従業員から聞いた情報は行政に伝える義務があるのか」
など相談をいただきます。
今回は会社が従業員から新型コロナウイルス感染した有無や病気に関することを聞くことが問題ないことかについて触れて行きたいと思います。
【感染した事実はどんな情報?】
個人情報保護法上で新型コロナウイルスに感染した事実はどんな情報にあたるかと言うと、「要配慮個人情報」という分類にあたります。
要配慮個人情報に関する詳細の説明は別のブログで説明してるのでそちらをご覧ください。
病気にかかった事実はこの要配慮個人情報に該当するため、会社は基本的に取得してはいけない個人情報となってきます。
【会社は何を根拠に聞くべきか】
では、会社は個人情報保護の観点で、新型コロナウイルスに感染した事実などを聞くことはダメなのでしょうか。
個人情報保護法の17条2項では下記のように定められています。
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
五 当該要配慮個人情報が、本人、国の機関、地方公共団体、第七十六条第一項各号に掲げる者その他個人情報保護委員会規則で定める者により公開されている場合
六 その他前各号に掲げる場合に準ずるものとして政令で定める場合
※個人情報保護法17条2項から引用
1号~5号が適用出来れば、同意を得ることもなく要配慮個人情報を取得することが可能になりますが、本人の同意を得ることが困難な状況とは言い難いため本人の同意を得て会社としては状況を把握することになります。
実際、インフルエンザにかかって出勤が禁止の判断を下すにしても、本人からの申告があってのことだと思いますので、会社としては蔓延しないように周知や従業員の方々が報連相しやすい状況を作っておくことが重要と言えます。
【従業員は感染を言う義務があるのか】
3つ目に従業員の方々は新型コロナウイルスに感染してしまった場合に会社に報告する義務があるかですが、上記でも触れた通り、会社としては情報を強制的に引き出すことが出来ない関係上、義務があるとは言い難いと言えます。
感染したことに気づかない、風邪をひいてはいるが検査を受けていないので判断がつかない。などの事情もあるかと思います。
別の法律から見た場合に感染症法では第4条の国民の責務の中でこういったことを定めています。
「国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努める」
※感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律4条から一部抜粋
努力義務にはなりますが、予防に必要な注意を払う意味では会社や関係各所等と連携して予防に努めるべきでもあると言えるでしょう。
会社としても新型コロナウイルスで様々な面で打撃をうけていることだと思います。
これ以上の拡大防止をしっかり行い、会社の事業活動を止めないようにしなければならないと思います。
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