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2024.10.17

行政は勝手に個人情報を使って良い??行政機関個人情報保護法との関係について

行政機関が個人情報を取り扱う場合、法律により厳格なルールが設けられています。日本では、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)と「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(行政機関個人情報保護法)が、この取り扱いを規定しています。これらの法律に基づき、行政が個人情報を第三者に知らせる場合、その行為が違法となる可能性があり、法的な制裁が科されることがあります。この記事では、行政機関が第三者に個人情報を知らせた場合にどうなるのか、その法的根拠やリスクについて解説します。

1. 行政機関個人情報保護法とは?
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(行政機関個人情報保護法)は、行政機関が個人情報を取り扱う際の基本的なルールを定めています。この法律は、国の行政機関が個人情報を保護するために定められた特別法であり、以下のような重要な原則を定めています。

適正取得の原則:行政機関は、個人情報を適法かつ公正な方法で取得しなければなりません。
利用目的の明示:個人情報を収集する際には、その利用目的を明示し、本人の同意を得る必要があります。
第三者提供の制限:個人情報を第三者に提供する場合には、原則として本人の同意が必要です。ただし、一定の例外があります(これについては後述します)。
2. 行政機関による個人情報の第三者提供の制限
行政機関個人情報保護法に基づき、行政機関が個人情報を第三者に提供することは、原則として禁止されています。しかし、法律にはいくつかの例外が設けられており、行政機関が本人の同意なくして個人情報を第三者に提供できる場合があります。以下は、その代表的な例です。

法律に基づく場合:他の法律で特別に認められている場合(例:刑事訴訟法に基づく捜査協力など)。
人の生命、身体、財産の保護のために必要な場合:緊急性があり、本人の同意を得ることが困難な場合(例:災害時の救助活動など)。
公衆衛生の向上や児童の健全な育成のために特に必要な場合:医療や公共の福祉にかかわる重要な事案において、個人情報の提供が合理的とされる場合。
裁判所や警察、行政機関などによる法的手続きに必要な場合:捜査や調査に必要な情報提供。
これらの例外を除けば、行政機関が本人の同意なしに個人情報を第三者に提供することは違法となり、法的責任が生じます。

3. 違法に個人情報が提供された場合の法的対応
もし行政機関が適切な手続きを経ずに個人情報を第三者に提供した場合、どのような法的対応が取られるのでしょうか?以下に、個人情報保護法やその他関連法に基づく対応策を示します。

1. 苦情や相談の申し立て
まず、個人情報が不正に第三者に提供された場合、当該個人は行政機関に対して苦情を申し立てることができます。行政機関には、個人情報の取扱いに関する苦情や相談に応じる窓口を設ける義務があります。被害を受けた個人は、ここで問題を報告し、適切な対応を求めることができます。

2. 行政機関への是正措置要求
次に、個人情報が違法に提供された場合、当該個人は行政機関に対して情報の訂正、利用停止、削除などの是正措置を求めることができます。この要求は、行政機関が不正な取扱いをした場合に、それを是正するための重要な手段となります。

3. 損害賠償請求
もし違法に個人情報が提供された結果として、当該個人が実害を被った場合、その個人は行政機関に対して損害賠償を請求することができます。これは、国家賠償法に基づく請求であり、行政機関が違法な行為により個人に損害を与えた場合、賠償責任が発生します。

国家賠償法第1条では、「国または公共団体の職員が、その職務を行うについて違法に他人に損害を与えたときは、国または公共団体がその損害を賠償する責任を負う」とされています。したがって、行政機関の職員が違法に個人情報を提供した場合、国または地方公共団体に対して損害賠償請求を行うことができます。

4. 裁判所への提訴
最終的に、問題が解決しない場合や損害賠償請求が認められなかった場合、当該個人は裁判所に提訴することができます。裁判所での判断によって、個人情報の不正提供が違法であると認められた場合、行政機関には賠償命令が下される可能性があります。

4. 個人情報保護委員会の監督
日本には、個人情報保護の適正な運用を監督するための「個人情報保護委員会」が設置されています。この委員会は、行政機関や企業が個人情報保護法を遵守しているかどうかを監督する役割を担っています。

もし行政機関が違法に個人情報を第三者に提供した場合、個人情報保護委員会はその調査を行い、必要に応じて行政指導や勧告、命令を出すことができます。違反が重大であれば、行政機関に対して是正措置を求めるほか、一定の罰則を科すことも可能です。

5. 違法提供に対する罰則
個人情報保護法や行政機関個人情報保護法では、個人情報を不正に第三者に提供した場合、組織やその担当者に対して罰則が科されることがあります。たとえば、個人情報保護法に違反した場合、以下のような罰則が定められています。

罰金刑:不正提供が故意であった場合、個人情報保護法では企業に対して最大で50万円の罰金が科されることがあります。
行政処分:個人情報保護委員会の命令に従わなかった場合、追加の罰則や処分が課せられることがあります。
6. まとめ
行政が個人情報を第三者に知らせた場合、その行為が法律に違反していると、さまざまな法的問題が生じます。日本の個人情報保護法や行政機関個人情報保護法では、個人情報の適正な取扱いと保護が強く求められており、これに違反した場合は、行政機関に対して損害賠償請求や是正措置の要求が可能です。また、個人情報保護委員会の監督のもとで、法的な罰則も適用される場合があります。行政機関に対しては、常に個人情報保護の重要性を意識し、適切な手続きを守ることが求められます。

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